風の色、海の色、バルセロナ色

バルセロナからの気ままな風。
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犬連れバカンス その4
翌朝は快晴。ホテルは山の中だというのに水量たっぷりの川辺に立つ17世紀辺りのお屋敷。部屋数7部屋という家族経営のこじんまりと静かな宿だ。もう村の名前も記憶には無いが、結構な保養地である。8時からしか朝食が出来ないという事なので、まぁ、バカンス用ホテルだから致し方ない。



プロヴァンスの明るい陽光の下、まずはマツの散歩。その後この旅初めてのゆったり朝食を戴き(たいして美味くはないが)、ホテル一番のウリの川面を背景に記念写真を撮って、これから家族別行動の旅となる。農奴解放から共和制へ、何ちゃって。誰も自分の見たいものの為に、人に道は譲らないもの。



とりあえずこの村に近いセナンク修道院は一緒に行く事にし、それから夫は我々をそれぞれの街に下ろし、自分は自分の修道院探しに赴く事になる。修道院はミサが始まる為、中の見学はできなかったが、夫は運良くは入れたそうな。孤独、清貧、質素を旨としたシト―派の、何処か厳しい趣のある要塞のような修道院。プロヴァンスシト―派三姉妹のひとつ。だがここはラベンダー畑で有名で、私たちが行った時は既に刈り込まれていたが、一面に紫の海になった絵ハガキが美しかった。7月中旬から下旬が見ごろだろうか。観光シーズンはさぞや、と思われるが、観賞用ではなく収穫用だから、満開の前に刈り取られる筈だ。



夫はここから残りの二姉妹、シルバカンヌ修道院、ルトロネ修道院だか、マグラダのマリアの遺骸があったとされるサン・マクシアンだかに行く気らしい。息子はとにかくひとりになって街歩きがしたい、あぁだこうだと聞かされる前に、自分の目でコルビジェのユニテを見たいらしい。ユニテで待ち合わせという事を決めて、「ありがと」と息子は嬉々として車から飛び出して行った。私はエクスのタピストリー美術館でも行って、後は少し街歩きをするとしようかな。



昨日まで寒さに震えていたのが嘘のよう。デュベロン山を越えると、少し翳りを帯び始めたとは言え、ここはまだ夏の陽光が燦々と降り注いでいる。プラタナスの並木に下がるプロヴァンスの旗は、カタランの旗に似て懐かしい。かつて南仏はアラゴン=カタルーニャ連合王国領だったのだし。デュベロン山、プロヴァンスと言えば、ピーター・メイルの「南仏プロヴァンスの木陰から」が思い出される。爆発的に売れたあのシリーズの影響で、プロヴァンス人気は高騰し素朴さが薄らいだ気がしないでもない。だが、ブルゴーニュの小雨模様の陰気さから逃れてきたばかりなので、イギリス人がこの光を求めて止まないのは良く解る。ベルと同胎の兄弟犬ヤーゴの飼い主もイギリス人夫妻だが、長らく暮らしていたイビザ島は俗にまみれ過ぎたというので南仏に引っ越している。私もプロヴァンスは大好きだ。乾燥しすぎてもいないし、食も美味しいし。でも。P・メイルの作品で読めたのは2作まで、後は愉しめなかったなぁ。柳の下の泥鰌は2匹が限界かしらん。



セザンヌがご贔屓だったカフェ「ドゥ・ギャルソン」は満杯状態。せっかくだからミーハーしようかと思うが、待つ気はない(ここら辺りがミーハーになれない決定的要因か?)ので、とりあえず街をぶらつく。しかし…、凄い人出。修道院巡りの果てはやっぱりこの俗世、きらびやか過ぎるかも。孤独、清貧、え〜っと何だっけ、質素?

カテドラルは回廊が美しく、天井から太陽の光が降り注ぐ円形洗礼所は珍しい。それからやっとタピストリー美術館へ。建物は大司教の邸宅だったもので、賓客をもてなす為に壁に飾られていた17世紀から18世紀のタピストリーが展示されている。ドン・キホーテの物語や、ロシア旅行がモチーフのタピストリーもあり、異国情緒的なものが人気があったようだ。「何処から来たの?」と受付のおばちゃんが聞くので、ここはやっぱり「日本」て応えておくべきなんだろうなぁ。すると日本語のパンフがあるという。今や珍しい手書き文字。最近は何処に行ってもこういうのが用意され始めたが、でも、本当はスペイン語か英語のをもらった方が、遥かに説明が豊富だし、不可解な翻訳を解読する為に頭をひねる事もない。特に建築関係は、建築の構造を解っていない翻訳家が辞書引きの専門用語で訳していると悲惨だ。門外漢にとってそういう作業がどれだけ大変かは身に沁みて解っているので、お気の毒という感じ。





犬の絵付けが可愛いお皿。ちょっと迷うが買わない。プロヴァンスの民族衣装をまとったお人形たち。ここはおじいさんが制作、おばあさんが販売という感じで、とてもいい雰囲気のご夫妻だった。クリスマスのご生誕シーンのお飾りなどもあったけど、やっぱり買わない。う〜ん、可愛いし素敵なものは一杯あるが、あまりモノを増やす生活というのも、いかがなものかしらんとも思うでありました。掃除も大変だし。



本当はプロヴァンスの布地屋さんでゆっくり生地を選びたかったけど、狭い店内に余りにも人が多くてゆったり見ていられないのと、夫との待ち合わせまでの残り時間が気になって、気が急かされながら買うのは嫌いなので諦める。これが目的のひとつでもあったので、残念と言えば残念だが、次回はもっとゆったりスケジュールで来よう、一人でもいいや。

さて時間が無くなってきた。お土産を買わなくては。お土産は貰って困らない実用品、お菓子が一番。エクスの名物はカリソン。何処がいいかなぁ、と探し歩いていたら、どうやらマルセーユから来ているクルーズ・ツアーの団体が一か所に固まってガイドの説明に聞き入っている。ちょっと懐かしい光景。どうやら老舗カリソン屋さんの説明らしい。早速ベルとランを預かっていてくれるベジェス達の為に購入。後はチーズ。しかしマルシェが閉まっている午後は食料品屋があまりない。街じゅうが観光客用のお土産店と化している感。夏以外に来た方がいい街かも知れない。

さて、どうにかチーズも買って一安心。さっきから気になってるのだが、何故かやたらとマカロン屋さんが目に付く。マカロン・ミュージアムと称するマカロン専門店もある。30種ほどから好きなものを選べるので、ちょっといいかも。残念ながらカメラはバッテリー切れで、色鮮やかなマカロンが写せなかった。さぁ、いよいよマルセーユだ。
| るな | 旅にしあれば | 09:57 | comments(0) | trackbacks(0) | -









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