風の色、海の色、バルセロナ色

バルセロナからの気ままな風。
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時雨の候
いつの間にか夏が終わってしまっていた。で、すっかり晩秋である。

今年は仔犬がいたこともあり、夫が手術をしたこともあって、バカンスらしきものがないままだった。秋になったら少し休もうかと思っていたら、どうやら秋も忙しいままに終わろうとしている。9月中頃にイギリスから息子が引き揚げて来たので、生活スタイルもやや変化した。

日本は就職難だと言うが、新入社員を毎年とるようなシステムがないヨーロッパでは、さらに深刻な就職状況だ。建設バブルが崩壊しきったスペインでは、失業率が19.4%だと言う。バカンス季の夏にはそんな深刻さを感じなかったが、これからの冬には更にその寒さが増すだろう。特に若年層の失業率は43.8%、大まかにいえば2人に1人は仕事がないという事だ。建設氷河期で息子もご多分にもれずであるが、語学ができる強みで、アルバイトをしながらバルセロナ大学のマスターに行く事になった。



そんな、ほとんどの建設がストップしているような状況下で、やたら元気なのがサグラダ・ファミリアだ。11月初旬にローマカトリック教皇による格上げミサが行われて大人気である。TVでミサを見て「おや、結構綺麗な教会に仕上がってるじゃないか」というので、見物にやってくる地元っ子が多いらしい。バルセロナは多かれ少なかれガウディの恩恵に与っている訳で、建設中のものをウリにしていられるなんて、珍しい。建設中の教会に12ユーロも取れるものなのか? そういう私も仕事ではたっぷりお世話になっているので、好き嫌いとか言ってる場合じゃないんだけど。



何だかあっという間に祭壇が作られ、十字架像が取り付けられ、パイプオルガンまで設置されているのには驚いた。仕事仲間の言い草じゃないが「やれば出来るんじゃない」である。これがガウディの作品なのかどうか議論が続いているそうだが、まずは教会なのかどうかという事が問われるべきだろう、と私なんぞは思う。教会として始まったモノならば教会として仕上げるのが妥当だろうし、ガウディの死んだ時点のまま廃墟のようにしておくと云うのは、何だか筋違いな気がする。ガウディは所詮いち建築家として請け負ったのであって、彼が有名な建築家になったから、教会の聖性よりガウディの芸術性の方が重要という論には、芸術至上主義のイヤラシさが臭うのである。建築は建ってこそ、使われてこそなんぼのモノ、そして美しく廃墟になりうる力があれば最高なのである。鉄筋コンクリートを使用した時点で、美しい廃墟になる栄誉は放棄したも同然、今さら何をか況やである。

しかしサグラダ・ファミリアは1992年のオリンピック、ミレニアム、ガウディ生誕150周年、とあらゆる機会をうまく捉え建設を推し進めてきた、非常に政治的な建造物でもある。ここに教皇のお墨付きまで加わったのだから、今さら怖いものなどないと云う感じだろうか。それはそれでオソロシイものがあるが、ま、私にとっては重要な飯のタネ、何でも話題に上がるのはいいことだ。と、思っておこう。



先週、久しぶりにゆっくりお犬と散歩をする時間が取れたので、キノコ狩りを愉しんだ。私が忙しくてかまって貰えないので、テンションが下がり気味だったお犬たちも大はしゃぎである。森には大勢の人が入った形跡があったが、そこは地元っ子、毎日のように歩いている森であり、あの辺りと狙った所にはそこそこの収穫があるのが嬉しい。収穫袋を持っていかなかったので、とりあえず帽子に入れていたが収まらくなってしまった。これはイタリアで言うポルチーニ、こちらではセプという。スパゲティ、パテ、特にラザーニャが最高である。


秋には秋の、冬には冬の愉しみがあるものだ。さっと時雨が走り抜けていく冷たさも、その数日後にはキノコが出るかしらんと愉しみにもなる。街はクリスマスの装いを始め、夏とは違う色合いで心が浮き立つ時候だ。子供が大きくなってクリスマス・ツリーを飾る事もなくなってしまったが、それでも何とか門松だけは立てている。日本にいるように親戚づきあいがあるわけでもなし、気楽な年越しではあるが、年をあらためると云う感覚はやはり日本人の感性なのかもしれない。こちらでは何と言ってもクリスマスが最大のイベント。今年話題になった人物を扱うこのカガネ人形、後ろで人間タワーを作っているのが、今月ユネスコの世界無形文化遺産に登録されたばかりのCastells(カステリェス)、カタルーニャのお祭りには欠かせない。サルダーナ同様フランコ政権下では禁止されていた民族の伝統である。発祥地はタラゴナのValls、あぁそう言えば焼きネギの季節も近い。



明日も雨模様だという。ひと雨ごとに収穫の愉しみに繋がる慈雨である。それにしても、この聖性を一見ちゃかすかに見えるカガネ人形、人間の日常性の重要さを説く偉大な人形だと思うのであるが、いかがであろう? 神は細部に宿る、とか? 違うかな〜。

| るな | 雑記 | 00:30 | comments(0) | trackbacks(0) | -









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