風の色、海の色、バルセロナ色

バルセロナからの気ままな風。
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マニータ
11月末の日曜は恒例のダル・クラブの遠足会。カタルーニャ州議会の選挙でもあった。今年最高の見ものになるクラシコ(バルサ-レアルマドリッド)戦は日をずらしたが、たかがお犬の遠足、大した影響はないし。




お犬の遠足は我が家のお孫たちが3匹参加。マツの娘のダナとニキータ、そして今回のランの娘カリン。そしてなんとマツの孫まで! う〜ん、やっぱり外孫より内孫の方が可愛いのは、致し方ないか。こうして親娘で歩いているのは可愛いもの。カリンは5カ月ながら将来が楽しみなメスで、今月はいよいよ本格的にショウ・デビュー。オーナーが愉しんでくれるのが何より大事で、負けて面白くないからすぐに諦めてしまったり、あろう事か犬に当たるような態度では好い犬を作りだす事は出来ない。結局、犬の躾というのは飼い主の気分にむらがあっては出来ないものなのだ。





選挙はカタルーニャ連合(CiU)の復活大勝利で終わったが、やっぱりこの不景気を何とかして欲しい有権者が、安定感のある党のイメージが強いCiUを選 んだと云う事だろう。そういう意味で民衆党(PP)が一躍第3党に躍り出たのも、社会党(PSC)の出口の見えない現状に相当頭に来ているんだろうと思わ れる。だって、カタルーニャでフランコの流れをくむ党が躍進するなんて、ちょっと考えられない事だったもの。世界はみんな右にと流れて行く気配がして、何 となく思考も不景気になる。しかも元バルサの会長だったラポルタ(こちこちのカタラン主義者)率いる新党 (Si) が躍進し、4議席も獲得したのもちょっと面白くない。バルサ会長時に金銭面での不正が囁かれ、バルサの中での影響力を保持しつつ政界に打って出ようという野心が丸見えだったし。政治の道具にされるのを嫌って、グアルディオラが監督続投になかなか首を振らなかったという噂もある。

ペップ・グアルディオラがやっと続投を決めたのは、次期会長選が終わってからだったが、長期のオファーにも首を振らず、結果を出せなかったら辞める、長期政権にはしない、という彼の公約通り1年契約だった。来季はせめて2年契約くらいにしてもらって、あまりヤキモキしなくて済むとありがたい。

変わって4年契約で「自分が最高の監督」とのたまわって、バルサに勝つために宿敵レアル・マドリの監督として乗り込んできたモウリーニョ。まぁそのお行儀の悪さに頭に来ているのはバルサっ子だけではなく、ことごとく相手をこきおろし揶揄するその口調にメディアのおちょくりも面白い。その対比の仕方も、“モウ“対“ペップ”では”傲慢“対“謙虚”、チームでは“カルテラ(財布=選手買い取主義)“対“カンテラ(採掘=選手育成主義)”、辺りが最も頻繁に目につく。

モウの挑発的で計算高い陰湿な男、というイメージは、先日の「耳打ち作戦」によく顕れている。イエローカードをチャラにさせるためにワザと選手二人にファウルを取らせ、次の決勝戦はゼロカードから始めようとしたという疑惑(この監督、頭がいいのか悪いのか…?)で、スポーツ精神に欠けると云うので関わった選手を含め高額の罰金を喰らったが、この策士“モウ“の執拗とも思われる挑発的発言には、謙虚な“ペップ”も相当に頭に来ていた模様。それが5対0という忘れ難い勝ち方をしたのだから、カタルーニャがお祭り騒ぎとなったのは当然かも。通りには誰もいない夜。同日だったら、誰が選挙により高い関心を持ち続けるだろう? 

この“モウ“と好いコンビのタカビー・ロナウドの「マドリから8点を奪えるものならやってみろ」発言、バルセロナが弱小チームのUDアルメリアに8-0と大勝したことについてのものだが、強敵マドリ相手に5-0なら、どっこいどっこいだってことくらい本人だってさすがに自覚しているだろう(それすらなかったら問題だ)。おまけにペップのちょっとしたおちょくり挑発に乗って監督を小突くと云う頭の悪いキレ方。抗議の仕方なら、それこそいくらだってあるだろうに。モウ監督秘伝の技、中指一本上にあげるだけだって十分なのだ。

だがメディアがこぞってロナウドやラモスの顰蹙シーンを繰り返し報道するのは、まぁその平常の傲慢な態度に問題があるんだろうし、モウ監督のアンチ・フェアプレー精神に対する嫌味も含まれているのかもしれない。「スペクタルの極みというべき試合を世界に見せる責任がある」とのたまったモウ監督、その責任を果たせたのかどうか問われるところだが、あれだけのお喋り自意識過剰監督が、選手にも自分にも緘口令を敷いているのが、実にオカシイ。しかし、サッカーってものすごく政治的スポーツなのねぇ、と今更ながらに感心するのでした。会長席の隣はカタルーニャ州大統領席が定席、この日はまだモンティージャ州大統領だったけど、会員席にいたCiUのマス代表がアップで映し出され、政権交代を実感させていたのが印象的だった。選挙での大勝とバルサの大勝、CiUにとっては堪えられない夜だっただろう。




スペイン・リーグのイケメン大賞を決めたピケ(当然よね!)が広げた5本の指、これが“マニータ”、小さな手というのが直訳だが、サッカーでは5得点ゲームをこう呼ぶのだそうで、当分バルセロナではこの挨拶が流行りそうだ。勝利の美酒はかくも美味し。翌日の新聞ではこの“マニータ”と“バニョ(圧勝)”という見出しが、クレ(バルサっ子)の購買欲をいやがうえにも高めたのである。あ、もう一つ、“ファミリー”対“チルドレン”というのもありましたね、チームプレーに徹したバルサと、うまくいかないとすぐにキレるお子ちゃまマドリ。しかし、去年の監督のペジェグリーニは温厚で素敵な紳士という感じだったし、長年主将だったラウルも洗練されていて感じ悪くなかったのに、監督一人で変わるもんなんですね〜。現主将のカッシージャが気の毒な感じ。マドリ唯一の生え抜きなのに。


さて、このピケが広げた手を見て、何故かミロの作品を思い出したワタクシ。ミロにはいくつか手をモチーフにした作品があるが、スペインではテロ行為などに対する抗議デモの際に、手を白く塗って掲げる。Mano limpio、汚れなき手、無実という意味合いだが、Mano negro 黒い手は、黒幕というような意味合いになる。




フランコ独裁政権下で制作を続けていたミロにとって、1954年に描かれたこの「半開した空が我らに希望を取り戻す」という作品の中の白い手、踊る骸骨。もっと後期の作品では白地に黒い手のものもある。ミロというとあの明るい、世界が全開したような作品のイメージが強いが、意外に暗く重たげな作品を書いていた時期が長い。厳しい目、両性具有の怪物的人物など、独裁政権が彼に投げかけていた影は暗く深かった気がする。

マドリの愛称“ブランコ(白)”が、モウ監督で”ネグロ(黒)”になってしまわないように、な〜んちゃって。






これは「鳥を捕まえる手」という題。捕まえているのか、遊ばれているのか。ほとんど自由という字義と等しい? 青い空にのびやかに遊ぶ小鳥と手。この青は地中海の色だ。


もうすぐ年越し。平穏な新年を迎えたいものだ。みなさま、穏やかな年越しでありますように。

| るな | スペイン事情 | 20:31 | comments(0) | trackbacks(0) | -









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