風の色、海の色、バルセロナ色

バルセロナからの気ままな風。
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犬も歩けば…
5月は本当に風が薫る。朝の散歩も夏時間に沿って1時間早めたので、早朝の空気はどこまでも清涼だ。そんな中で色んな香りがしてくる。いろんな小鳥のさえずりが聞こえてくる。自然の持つ圧倒的な明瞭さに、五感がひたひたと満たされていく気配がする。この季節、ジョギングや散歩をする人に出会う機会が増えるが、ほとんどの人がウォークマンを聴いている。ウォークマンは日本人の偉大な発明品だと思うが、自然に背を向ける行為でもある。自然の中を走りながら、走るという行為だけが先走りして、これだけの豊かな匂いや音を、感じ取ることなくただ通り過ぎていく。もったいない。




犬たちは自然の変化に敏感だ。花を愛でている訳ではないのだろうが、消化を助けてくれる柔らかな葉は良く知っている。馬やウサギ、イノシシの糞の匂いを嗅ぎ、遠くの動きの気配に全神経を集中させている。彼らにとって散歩は、持てる五感をフルに生かす絶好の機会である。

小型犬だから、庭が広いから、と散歩に出さずとも運動量が足りているかのように言う飼い主がいるが、散歩は運動量だけではない、この異なった空気の中で自らの五感を働かせ、世界を感じ取る事が大切なのだ。犬は調和の生き物なのである。


では、人間はどうなのか? 

街を歩くといろんなものに出会う。通りには不思議がいっぱいだ。



散歩が出来なくなった犬なのか? 飼い主が遠出したいからの発明品なのか? それとも、単純に大道芸人?? アマデウ君よ、君はいったい何者? う〜ん? でもやっぱり、あの自転車の真ん中にある丸いボックスが気になる… お金を入れる箱なのか? いや、エサ箱とか…? 不思議があると、ガゼン気分が良くなるのである!






ケーキ屋ではバルビー嬢も頑張っていた。まぁ、イースターも過ぎたのに、何故にヒヨコ? で、バルビーは食べられない訳で、あくまでもイースターの添え物? これって、子供用だよね?? 誰が誰のために買っていくのか、気になる…。私を食べて、って訳でもないだろうしなぁ? こういうのを作っちゃう人の方が、不思議か。このお店はランブラス通りにある飴細工で有名なお店だが、あの「バイアグラ」が出た時は、そっくりチョコを販売して話題を集めた。ワタクシ? もちろん買いましたわよ〜、おっほほ! んだって、所詮チョコじゃん!?

こういう大人の遊び心が大好きである。ん、嫌味か? 気にしないぞ〜。という感じが、いいんだな。これは若い時には解らなかった遊び心。





これは最近話題になっているバルセロナのリサイクル・バッグ。バルセロナはポスターが貼れる場所には厳しい制約があるので、街路に垂れ幕を下げて催し物や選挙の告示が行われるのだが、その垂れ幕をリサイクルしてバッグにしたのがこのお店。ポスターは厚地のビニール加工がしてあるから頑丈だし、図柄や文字の何処をどうデザインとして活かすかで、一品一品表情が異なるのが、なかなかに面白い。だが、リサイクルものなのに結構な値段がする。そこがちょっと小生意気に感じてしまうので、私は買わないのだが。何だかほら、ちょっと当りを狙いすぎてる、っていうか。そういうのが垣間見えると、妙に気恥かしいのだ。でも、たまに見てみると楽しい。でも自分用には買わないな、やっぱり。お土産にはいいかもね。






野原に突然出現したオブジェ。これは久しぶりに出会った「愉快」。名もなき者の愉しさよ。何処にも何の説明も署名もなく、いっそ清々しい。我が家のマツ坊の格好のマーキング・ポイント。それも良し。こういう処にお犬と共に寝っ転がって、ぼんやり本でも読んで居たくなる。それは何だか限りなく、自由への憧れに近い気がして、ちょっと切なくなる感じ。






そしてこれはカタルーニャ広場で「デモクラシー運動」に参加している若者たち。地方選挙投票日の朝の様子。Change、変革を訴える若者たちの閉塞感は根強く(25歳以下の失業率は40%以上と言われている)、一向に改善の兆しの見えない出口なき現況に、インターネットワークを通じて広がった草の根運動なのだが、現政府をぶっ壊して別な政党を応援しようという感じでもなく、もうこれ以上耐えられないという思いから、とにかく自分たちで改革をする為にはまず投票する事、それがデモクラシーの第一歩、という呼びかけだ。

日本でもそういう夢があったのではないか? 現況を変えられると信じた瞬間が。だが何も変わらない。自民党から他の政党に主権が変わった時に、やっと戦争責任に対する発言が一歩か半歩かが進んだだけだ。

ではスペインは? 改革がありうるという夢が続いているのだろうか? 現首相ザパテロは、マドリッドにおけるテロの後、アメリカのイラク侵攻を否定し、即刻軍を撤退させるという公約のもと選挙に勝った。そしてアメリカのリーマンショックの余波をもろに受けて、これといった経済対策を示せぬまま泥船と化してしまった。次の総選挙では、地方選の勝利を受けてそのまま民衆党(PP) が勝つだろう。あんなにフランコ嫌いのバルセロナですら、フランコの流れをくむPPが議席を増やし、社会党が第2党に転落するという歴史的敗北が起きたのだ(第1党は1議席差でカタルーニャ同盟 CiU)。だが、どの政党が政府を作っても目覚ましい現状解決策など、さほどありはしない事もみんなうすうす解っているのではないだろうか。どんどん右に傾いていくという事は、我々がより閉塞的な状況に居るという事だ。ヨーロッパ全体の動きにならってか、スペインも左派から右派へと傾いていく。もとは労働者側に立っていたはずの社会党が、その労働者からも見放されていくというのは、一体どういう事なのだろう。絶望への道をひたすら進んでいるという事なのか。

選挙が終わって1週間、突如、州政府が機動隊を広場に導入し、鎮圧にかかった。翌日のバルサのヨーロッパ・チャンピオンズの為に、ファン結集の場であるカタルーニャ広場を掃除するという名目のもと、無抵抗な民衆を殴るという暴挙。せっかく選挙に勝ったCiUだが、自らケチを付けた様なものだ。権力者は同じ道を行くということか。やはり所詮は右寄り、労働者階級に対しては傲慢な態度を取りかねないのではないか。単なる危惧なら良いが…。





バルサは真っ当なサッカーで無事勝利を手にした。「やれやれ」というのが、この1年間モウリーニョを始めとするマドリッドの口八丁手八丁の攻撃に耐えてきたファンの本音だろう。しかも世界が絶賛するバルサ・スタイルでクリーンな試合をした彼らに、感謝の思いで一杯だ(奇妙な事にスペインのメディアはマドリッド寄りなので、外国のメディアほどには絶賛していない)。主将プジョールが癌から復帰したアブダルに、優勝杯を受け取れるべく主将章を腕にはめてやる姿は、多くの人の胸を打ったと思う。ここにバルサ魂あり、という誇らしさがひたひたと押し寄せた事だろう。モウには逆立ちしたって精神性なんぞ生み出せない。30日の凱旋パレードにはなんと100万人が祝福に繰り出した。これがバルサであり、バルサっ子(クレ)なのだ。何にでも頂点はあり、やがては陰りを帯びて行く。それをひたひたと感じながら、でももう1年、またあの素晴らしいプレーで魅了してもらいたい、というのがクレの思いだと思う。ほんと「やれやれ」なシーズンでした。


| るな | 雑記 | 09:59 | comments(0) | - | -









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