風の色、海の色、バルセロナ色

バルセロナからの気ままな風。
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バルセロナという街を歩く
3月の世界最大規模のモバイル見本市がやっと終わり、バルセロナの街は平常の落ち着きを取り戻した。見本市の入場料が2000ユーロとか4000ユーロ、ホテルの値段は10倍にまで跳ね上がるというにも拘らず、80万人がこの見本市に訪れた。この期間は一般の観光客はほとんど訪れない。ホテルが取れないからだ。バルセロナという街の不思議な力だ。見本市、各種学会を引っ張て来るのに、ガウディという観光商品、ブリを筆頭とする新スタイルの食事の美味さ、気候の良さにインフラ整備、などバルセロナは今や首都マドリッドより、観光客が多い。日本の観光ツアーのパンフレットも、スペインを謳わずバルセロナを前に出したものが増えてきた。



ヨーロッパの都市の中でも、バルセロナは格段にWiFiフリーが浸透している。駅やバル、カフェ、ホテルのロビーはWiFiフリーは当たり前の感じだから、日本に帰った時にはその不便さに閉口する。日本の携帯会社の派閥的仕切り方、これが実に島国根性的な感じ。人も物資も自在に行き来せざるを得ないヨーロッパでは、国ごとの細かな仕切りがあっては流通自体が成り立たなくなってしまう。WiFiは成田空港ですら部分的にしか使えないような感じで、どこが国際空港なのか? 日本は多文化ということが、本質的に分かっていないのだろう。自分の国の言語が自分の国でしか通用しないような国で、多民族多文化の共有ということは、いかにも難しいことなのかもしれない。しかしそれの反動としての日本固有の文化、という姿勢でいいのかは疑問だ。良い商品を作ってさえいればグローバル企業になれる、という訳ではないし。



カタルーニャで独立の動きが活発化しているなか、ウクライナのクリミアの動きが興味深い。クリミアが独立ではなく、ロシアへの編入を求めたこと、これはかつてこのカタルーニャがフランスへの編入を求めたという姿に重なる。1640年から10年余り続いたカタルーニャ反乱が、スペインが世界帝国から転落する最終的な引き金になったといわれるが、フランス軍を受け入れておきながら自分たちの自治意識に基づいた特権の保持に固執したカタルーニャは、結局は絶対王政のフランスにも受け入れられず撤退されてしまった。自分たちの自治さえ確保できるならどこの国の王様だって構わない、という傲慢ともいえる姿勢は、スペイン国王によって鎮圧された末に、ピレネー条約によって西仏国境が定められ、現南フランスのルシヨン地方を失うことになった。



はたして歴史は繰り返すのか? スペインの5分の1の税金を納入しているカタルーニャにとって、独立して自分たちの国家を運営し、EUの一員として発言していく、というのは実現可能な夢なのか? あれだけの内戦を経験した後に、未だに燻り続ける火種はしぶとく不屈だ。カナダのケベック州にしても2度にわたる独立の賛否を問う住民投票では、独立が否決されている。はたしてカタラン人はこの独立を可能な夢として追求し続けるのか? カタルーニャとは一つの国であるという意識は圧倒的に強いが、本音から言えばスペインからの独立を本当に望んでいるかは、疑わしいものがあるという気がする。スペインという枠組みの中で絶対的自治権を求めるための布石なのではないだろうか。今年は再び独立の賛否を問う住民投票が予定されている。恐らくは独立を夢見ることは一つの民族の希望であり、救いでもあるのだろう。



バルセロナオリンピックが決まった1986年、街は興奮に包まれ、インフラ整備が一気に進んだ、黒ずんだ石の塊のようだったガウディのカサ・ミラは白く磨き上げられ、グエル公園のモザイク修復も、街並み保全の政令整備も一気に進んだ。街並みを残すために高さ規定、外観規制が厳しく定められ、新しく建物を建て替える場合も外側だけは残さなくてはならない。しばらく止まっていた建設が少しばかり動き出したように思えるが、それは今までのように新しい地区における開発といった規模ではなく、街中の再生という形の方が多いように思う。この画像は旧市街のランブラス通りの立替の為に、外壁を全て残しているところ。恐らく地下に駐車場を持つ近代的な建物が、この古い外壁の中にすっぽりと収まるのだろう。かつての住民たちが家の壁を塗り分けていたのが見れて面白い。



これはパエジャ作りの講習会の様子。パエジャコンクールで金賞を取ったというシェフのクラスに、わざわざ日本からツアーを組んでやってくる。パエジャは蒸らし過ぎてはいけない、ほんの少し芯があるのが美味しい、とシェフは強調する。だが、日本人はあくまでも自分たちのやり方で、米を食すのである。平和な一日。
 
| るな | バルセロナという街 | 03:03 | comments(0) | trackbacks(0) | -









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