風の色、海の色、バルセロナ色

バルセロナからの気ままな風。
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バルセロナという街を歩く その4
五月というのは街歩きに心地よい季節だ。プラタナス並木がバルセロナという街を緑に染め上げる。綿毛がアレルゲンのひとつというので、近年プラタナスから花の咲く樹に植え替えが進んでいるというが、私はこの大きなプラタナスの並木が大好きだ。一本のまっすぐな道を天蓋の様に覆い、やがて円となって世界を閉じている。他の街から帰ってくると、バルセロナは緑が多いなと感じる。マドリッドは大きな公園がたくさんあるが、意外に街中に緑を感じることがない。妙に殺伐とした感じなのだ。



街を歩いていると、思いがけずハッとするものに出会ったりする、良い意味でも悪い意味でもだが。ぶらぶら街歩きで楽しいもの、美しいものに出会えるのは、都市生活者のひとつの悦び。週末、サンタ・マリア・デル・マール教会近くにハンドクラフトの市が出る。これは知人のイタリア人男性が作っているフエルト素材のバッグ屋さん。カラフルでありながらシックな色合わせは、イタリア人の感性だと見入ってしまう。仕事も丁寧。イタリア訛りの彼は、中々に繊細で素敵なのだが、残念ながら美男子のパートナーがいる。やっぱりね。



キティの何がこんなに受けるのか、私には全く理解できない。ディズニーのキャラクターとかも、理解不能だけど。しかし、人気だ。これはいつもウィンドゥのデコが面白いランブラスのケーキ屋で見つけた、サン・ジョルディの日の飾り。こねくり回されたこういうケーキって、オモシロイかもしれないが、食欲は誘わない。食べ物は美味しくいただけるのが基本。これはあくまでも客寄せ。でも愉しいから時々覗くお店のひとつ。



これはバス停にあった広告(何の広告だったかは失念)。これを友人に送ったら、「まさしく! しかし💛ももう不要かも」というコメントが。正しく、と笑ってしまう。Vangardia紙の特集を見ていたら、面倒な関係よりは一人の方が良い、というのがあった。自立しあっている者同士、もしくはきちんとシェアしあえている者同士であれば、結婚という形態に自由を感じられるのかもしれないが、そうでないと感じてしまう関係よりは一人でいる方が良い、と考える人が増えている。ひとりでいる孤独の方がマシ、という訳だ。スペインはヨーロッパの中でも離婚率は高い、カトリック教国であるということを思えば、それは宗教なんぞ関係ない離婚率の高さ。離婚率が低い国が幸せなのかはわからない。経済的に相手に依存しなくてはならない仕組みの中では、結婚は一つの生きる形態だからだ。男と女のつながりを支えるのは何か? 人間的魅力か、肉体的魅力、はたまた経済的魅力か? 精神的な関係は破たんしているが、双方とも自立できないため離婚できないカップルというのは、この経済不況下のスペインではさらに増えるだろうし、結婚という形態はこれから先、ますます減少していくだろう。そんなことにまで思いを至らせたポスター。



バルセロナはガウディに依存している。のではあるが、このBellesguard邸の場合は、どういえばよいのか。ガウディの作品の中で、個人宅として現在も人が生活をしている数少ない屋敷だ。ガウディの作品としては非常に中世的な、そして政治的象徴に満ちた作品だ。いたるところにカタルーニャの歴史、その栄光と没落、ドラゴン…などが見え隠れする。スペイン内戦中は押収され、孤児院としても利用された数奇な運命を持つ。現在の所有者ギレラ家は一時、癌専門の個人病院として使用していたこともあり、また個人宅でもあることで、一般公開はされてこなかったのだが、今回修復費の捻出のために、一部公開に踏み切った。たまたま現在の所有者であるギレラ夫人と言葉を交わしたのだが、大がかりな修復費を銀行から借りて、やがて銀行の持ち物になってしまうくらいなら、共存できる形での公開という方向を選んだのだとか。



直線的な外観を持ちつつ、室内空間にはガウディらしい曲線が使われている。もっともこのタイルはガウディの意図したものではないそうで、確かに自己主張の仕方が違う気はする。屋上階からはバルセロナの街が360度展望できるが、かつてはローマ時代の要塞であり、カタルーニャ朝の最後の王、マルティン1世の夏の離宮でもあったという。室内の公開はごく限られた部分だけだが、ガウディ作品としては集合住宅ではない個人宅を見れる。以前、やはり個人宅として今も使用されているカサ・ヴィセンスも見せて頂いたことがあるが、あちらの室内空間は過剰なほどの装飾に満ちていた。そこまでの様子は見れないのが、ちと残念ではあるが、うまく観光と共存し維持できることを祈っている。日本でも白川郷など、個人宅として暮らしつつ公開している屋敷もあり、それは維持するための苦渋の決断であるのかもしれない。だがやはり、これだけの誇れる屋敷を持てること、それを維持しようという意思、それは尊重すべき素晴らしいことだと思う。ただし、Bellesguard邸の公開時間は、一日のうち数時間と限られているが。



これは屋根裏階。前出の写真の階段部分と同様、薄いレンガを使ったカタランボールトの作品だが、こちらは漆喰が塗ってないので構造がそのまま見える。ゴシックの間と呼ばれているそうで、シャンデリアの飾りも鋳物のゴシック風。窓から外は一切見えない。あの窓の外は屋上階で、そこにはドラゴンが眠っているという、物語性溢れたお屋敷。何処にドラゴンがいるのか、それは見てのお愉しみという訳だ。

今年は思ったより気温が上がらず、せっかく出した夏服も着ていくには躊躇する肌寒い日が続いているが、太陽を求めてくる観光客たちで、バルセロナは相変わらず賑わいを見せ、この日曜は15万トン級の大型客船が2艘、中型小型を含め7艘のクルーズ船が入港し、商業施設からの要望に沿って日曜開店の許可がなされた。日曜は休業というスタイルは変わりつつある。マドリッドなどは完全自由化にしてしまったが、バルセロナも観光関連からの要請によって、今年の7月、8月は日曜開店を認可した。パリなど北ヨーロッパに行くと8月は休業のお店が多いが、そういう人たちがバカンス客としてやってくるバルセロナでは、日曜の買い物客を逃すのは大きな損失、という訳だ。7月はバーゲンの月でもある。さて、気合を入れて下見をしておかなくちゃ!
| るな | バルセロナという街 | 17:50 | comments(0) | trackbacks(0) | -









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