風の色、海の色、バルセロナ色

バルセロナからの気ままな風。
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あれからの諸々なこと

バルセロナが何処へ流れていくのか、この数年、移ろいやすい季節を眺めるような気持ちだった。独立の是非を問う住民投票自体が違法というスペイン政府の見解には、納得がいかない。かつて、イギリス政府はスコットランドの独立を問う住民投票を認可した。今のスペインに欠けているのは、その潔さのような気がする。もっとも、今のイギリスに潔さは感じないが。

 

 

独立を問う住民投票自体が違憲であるという論理で、当時の州議会の主要メンバーが政治犯としての憲法違反に問われた。スペインは民主主義国家であるから、政治犯、というのには当たらないそうだが。では、思想犯なのか? 自分たちの主権を問うことは、確かにアイデンティティーそのもの問題である。だが、カタルーニャは本当にどこに未来の光を見出そうとしているのか? イギリスのブレジットも、栄光の大英帝国思想が染みついているからだと言われることがある。そういう教育を受けてきた世代にとってすれば、自分たちでやっていけるという思い入れが強いのだろう。かつての強かった日本もそういう幻想があったように思う。だが、今の日本は世界に冠する企業の多くを失い、グローバルに戦える企業は少ない。バルセロナからも多くの日本企業が消えた。かつて多くいた企業赴任者もほとんどいなくなった。国は移ろうのだ。そのことをひしひしと感じる。

 

 

そしてその移ろいを自分たちの手でコントロールしたいと願う人たちは、この国では日本より遥かに多い。ここでは常に己の立場、位置を問われるのだ。それは家族の中にあっても変わらない。前回の独立を問う住民投票以後、家族の中、友人の中で対立や亀裂が表面化してきている。独立に賛同できない相手とはやっていけない、過激な独立思想は受け入れられない、その意思表明が衝突を産んでいる。

 

 

判決の出た10月14日、実刑13年〜9年というのは不当な判決だと、多くの人が瞬時に思ったに違いない。これは騒動になるなと思いながら、仕事で中心部に向かっていくと、街中から人が自然な流れのように湧き出していた。大学生の反応がいち早く、彼らは即ざに授業を放棄し、中心部へと集結していった。SNSでの呼びかけという新しい時代の中で、彼らはある種扇動されやすく、群れになりやすいのかもしれない。独立派も、独立反対派すらもこの判決を人権的に不当と感じ、この時点では垣根は取り払われていたように思う。そもそも、独立を問う住民投票自体を違憲とすることが民主主義なのか、という疑問が払しょくされないまま、あまりにも重すぎる判決は政治的判断が司法を動かしている、と思われてもいたしかたない。話合いを拒否し続ける中央政府の態度には懐疑的にならざるを得ないが、この政府だって組閣がうまくできず暫定政府なのだから、あちこちの顔色を窺わなくてはならない。左派だけで寄せ集めても過半数に達しないのだから、右にだって手を出さざるを得ない有様なのだ。カタルーニャの火種が飛火することも怖い。バスクだって虎視眈々と様子を窺っている。

 

始まりはこうした人道的反応だった。だが、夜になって過激派左派(と言われている)がゴミ箱や車に火を付けるという行動を起こした。そして連日のように、昼間は穏健なデモ、夜は何処からともなく現れる過激派の破壊行為、というカタルーニャの二極性が現れた。黒装束に目だし帽、テロを行うための装束で現れる彼らは、一体何者なのだろう? カタルーニャの独立運動に名を借りた、ある種の扇動者に過ぎないのではないか? それとも人は潜在的にこうした破壊行為を容認しているのだろうか。あれらの報道的影響力で世界に向けての、カタルーニャの苦境をアピールできたと考えている人も多いのだ。だがEUは中国への対抗上、香港の自治を支持するが、同盟国に多くの独立問題を抱えるEU内では見て見ぬ振りだ。EU自体が脆い基盤の上で成り立っているという感が否めない。

 

 

今現在、デモは終息の方向にある。無期限デモを掲げ大学前広場の主要道をブロックしていた大学生も、引き上げを決めた。大学内に場を移すそうではあるが、いつまでも道を閉鎖されていてはたまったものではない。街の通りにはクリスマスのイルミネーションの設置が始まっている。クリスマスという一つの祝賀の日に向けて、このデモは下火になっていくだろう。だが、カタルーニャ人の中に中央集権主義を強行するスペイン政府への不信は消えることはないだろう。彼らは決して諦めないだろう。諦めないという事は、屈辱を忘れないというカタルーニャ人の核なのだ。そしてそれは何処から来るのか? 自らの収入でやっていけるという自負からだ。それは個々の人間も同じだ。それが人が自立するという事なのだ。自分で自分の面倒は見れるという自負が、カタルーニャ人の核なのだろう。

 

| るな | 雑記 | 23:36 | comments(0) | trackbacks(0) | -









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